事例は形式より狙いを見る/施策は届け先で選ぶ/一つの取材を複数に展開/効果は選考の変化で見る

この記事の要点

  • 事例は形式より狙いを見る
  • 施策は届け先で選ぶ
  • 一つの取材を複数に展開
  • 効果は選考の変化で見る

採用広報の事例を探すと、社員インタビュー、職場紹介の動画、SNSでの日常発信、採用マンガなど、さまざまな施策が見つかります。ただし、他社の事例をそのまま真似ても同じ結果にはなりません。参考にすべきなのは形式ではなく、その施策が「誰の、どの迷いに答えているか」と「どこで候補者に届けているか」です。

成功事例と呼ばれる採用広報には、共通する考え方があります。候補者が応募や入社をためらう理由を特定し、その答えを候補者が見る場所に置き、発信を続けていることです。施策の形式は、その後に決まります。

この記事でわかることは次のとおりです。

  • 採用広報の事例を見るときに確認すべき点
  • 成功事例に共通する考え方
  • 記事・動画・SNS・マンガなど、施策ごとの向き不向き
  • 狙い別に見た、採用広報の事例のパターン
  • 自社に合う施策の選び方と、進め方の手順

採用広報の事例を見るときは「狙い」と「届け先」を確認する

採用広報の事例は、表面だけを見ると「動画を作った」「SNSを始めた」という形式の話に見えます。しかし、同じ形式でも狙いが違えば中身はまったく別物です。事例を読むときは、次の4点を確認すると、自社に活かせるかどうかを判断しやすくなります。

確認する点見るべき内容
対象新卒か中途か、経験者か未経験者か、どの職種か
答えている迷い仕事内容、職場の人、成長の道筋、働き方など、どの疑問に答えているか
届け先採用サイト、求人票、スカウト、SNS、説明会など、どこで読まれているか
続け方単発の企画か、継続して発信しているか

たとえば「社員インタビューを載せたら応募が増えた」という事例でも、未経験の中途採用で「入社後に独り立ちするまでの過程」を書いたのか、新卒採用で「若手が任される仕事の大きさ」を書いたのかで、学べることは変わります。自社の採用課題と対象・狙いが近い事例を選ぶことが、事例探しの出発点です。

採用広報で発信する内容そのものの企画の立て方は、採用コンテンツの作り方の記事で詳しく扱っています。

採用広報の成功事例に共通する考え方

採用広報が上手いと言われる企業の発信は、使っている施策はさまざまでも、考え方に共通点があります。

  • 候補者の疑問に具体的に答えている — 「風通しが良い」と書く代わりに、新人が上司に相談する場面や会議の様子を見せている
  • 良い面だけを並べていない — 大変な点や慣れるまでの過程も書き、情報全体の信頼性を高めている
  • 現場の社員が登場している — 人事や経営者だけでなく、候補者が一緒に働く立場の社員が語っている
  • 届け先に合わせて形を変えている — 同じ話を、採用サイトでは記事に、SNSでは短い投稿に、スカウトでは要点だけにしている
  • 発信を続けている — 一本の出来より、判断材料が積み上がっていくことを重視している

反対に、うまくいかない採用広報によく見られるのは、理念や社長メッセージだけが大きく、仕事の中身がわからない発信です。また、話題になることを狙った企画は一時的に注目を集めても、候補者の応募判断に使われる情報にならないことがあります。採用広報の目的は注目を集めることではなく、自社に合う人が応募を決められる材料を届けることです。

施策ごとの向き不向き:記事・動画・SNS・マンガ

採用広報の主な施策を比べると、向いている内容と届け先は次のように分かれます。

施策向いている内容主な届け先向いていない場面
記事(インタビュー・解説)考え方、入社の経緯、制度の詳細採用サイト、ブログ、note数秒で判断される場所での第一印象づくり
動画職場の雰囲気、人の話し方や表情採用サイト、SNS、説明会頻繁な更新や、細かい条件の説明
SNS投稿日常の様子、短い告知、他の発信への入口各SNS単発で応募の判断材料にすること
マンガ仕事の流れ、入社前後の気持ちの変化採用サイト、求人票、スカウト、SNS制度や条件の網羅的な説明
説明会・イベント質疑応答、双方向のやり取りオンライン・対面の場参加しない候補者への情報提供

それぞれの特徴を補足します。

記事は、作りやすく転用しやすい施策です。一度文章で整理しておけば、動画の台本やSNS投稿、マンガのシナリオに作り直せます。一方で、長くなると最後まで読まれにくく、スカウトや求人票のような短時間で判断される場所には向きません。

動画は、人の表情や声、職場の空気を伝えるのに優れています。ただし撮影と編集の工数がかかり、出演した社員の異動や制度の変更があると作り直しが必要になります。長く使う前提なら、変わりにくい内容に絞ると扱いやすくなります。

SNS投稿は、候補者との接点を増やす入口として機能します。単発の投稿だけでは判断材料になりにくいため、記事や採用サイトへの導線とセットで使うのが基本です。

マンガは、場面と会話で仕事の流れや気持ちの変化を見せられる施策です。文章なら長くなる説明を数ページに圧縮でき、スカウトや求人票に添えても読まれやすいのが特徴です。採用マンガの構成の作り方は採用マンガの記事で整理しています。

狙い別に見る採用広報の事例のパターン

ここでは、特定の企業ではなく、採用広報でよく見られる施策の組み立てを狙い別に整理します。自社の課題に近いものから検討してください。

狙いよくある施策の組み合わせ答えている迷い
未経験者の応募を増やしたい入社1年目の社員インタビュー+独り立ちまでの流れを描いたマンガ未経験でもやっていけるか
知名度が低く、認知を広げたい事業や業界をわかりやすく解説する記事+SNSでの日常発信どんな会社で、自分に関係があるか
入社後のギャップを減らしたい繁忙期の様子や大変な点も含めた仕事紹介+よくある質問実際の働き方は聞いていた話と同じか
内定辞退を減らしたい配属先の社員の紹介+入社後の立ち上がりを描いた体験談本当にこの会社でよいのか
スカウトの返信率を上げたいスカウト文面に添える短いマンガや要点をまとめた画像読む価値がある会社か

実在の事例としては、株式会社タイミーの「タイミーキャリアプラス」で求人マンガを活用した取り組みがあります。LPマンガの読了率55%、求人マンガのコンバージョン率が約2倍という結果が出ており、経緯はタイミー社の求人マンガ制作の事例で紹介しています。文章の求人情報だけでは伝わりにくい仕事の具体像を、読まれる形で届けた例です。

どのパターンでも、一つの施策で一つの迷いに答えることが基本です。一本の記事や動画に会社の魅力をすべて詰め込むと、どの候補者にとっても焦点の定まらない内容になります。

自社に合う採用広報の施策を選ぶ手順

事例を参考にしながら自社の施策を決めるときは、次の手順で進めると方向がぶれません。

  1. 採用課題を一つに絞る — 応募が少ないのか、応募の質が合わないのか、選考や内定後に辞退されるのかを切り分ける
  2. 届けたい候補者を具体化する — 職種、経験、今の仕事で抱えている不満や不安まで書き出す
  3. その候補者の迷いを洗い出す — 面接でよく聞かれる質問、辞退の理由、入社後のギャップから探す
  4. 候補者が情報に触れる場所を確認する — 求人媒体、スカウト、SNS、採用サイトのどこで判断しているかを見る
  5. 届け先に合う形式を選ぶ — 前の章の表を目安に、記事・動画・SNS・マンガなどから選ぶ
  6. 一度の取材を複数の形式に展開する — 記事にまとめた内容を、SNS投稿やマンガ、スカウト文面に作り直す
  7. 現場に内容を確認してもらう — 実際の業務と描写がずれていないか、配属先の社員に読んでもらう

特に6番は、担当者が少ない会社ほど効果があります。社員インタビューを一度行えば、その内容から記事、SNS投稿、マンガのシナリオ、スカウト用の要点をまとめて作れます。採用サイトに載せる情報の整理は、採用サイトのコンテンツの記事も参考にしてください。

採用広報の効果の見方

採用広報は、応募数だけで効果を判断すると見誤ります。候補者の理解を前倒しする施策なので、次のような変化もあわせて確認します。

指標見るポイント
閲覧数・読了率どのテーマが読まれ、どこで離脱されているか
応募ページへの遷移どの発信から応募に進んでいるか
面接での質問の変化条件確認から、仕事の中身についての具体的な質問に変わっているか
選考辞退・内定辞退の理由事前に伝えておけば防げた誤解や不安が減っているか
入社後の定着「聞いていた話と違う」という声が減っているか

数値だけでは理由までわからないため、面接官や現場の声とあわせて判断します。面接で候補者から「記事を読んで気になった」「マンガで見た場面について聞きたい」といった話が出るようになれば、採用広報が判断材料として使われている目安になります。

まとめ

採用広報の事例と施策選びの要点は次のとおりです。

  • 事例は形式ではなく、誰のどの迷いに答えているかを見る
  • 成功事例に共通するのは、具体的な情報を、候補者が見る場所に、続けて届けていること
  • 施策は届け先で選ぶ。記事は転用しやすく、動画は雰囲気、SNSは入口、マンガは仕事の流れを伝えるのに向いている
  • 一度の取材を複数の形式に展開すると、少人数でも発信を続けられる
  • 効果は応募数だけでなく、面接の質問や辞退理由の変化で見る

仕事の流れや入社前後の気持ちの変化を伝えたいときは、マンガも選択肢の一つです。つたわるマンガでは、採用サイトや求人票、スカウトに使う採用マンガを、生成AIとプロのデザイナーの組み合わせで制作しています。基本料金は1ページ3〜5万円(税込33,000〜55,000円)で、用途・ページ数・仕様に応じて個別にお見積もりします。「自社の採用広報のどこにマンガを使うとよいか」といった段階のご相談でも構いません。サンプルマンガの制作も無料で承っていますので、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

よくある質問

採用広報の成功事例は、どこを参考にすればよいですか?

使われている形式や見た目より、その施策が「誰の、どの迷いに答えているか」と「どこで候補者に届けているか」を見ます。同じ社員インタビューでも、未経験者の不安に答えるものと、経験者に裁量の大きさを伝えるものでは中身がまったく違います。自社の採用課題と狙いが近い事例を選ぶと、形式を真似るだけで終わらずに済みます。

採用広報が上手い企業には、どんな共通点がありますか?

発信する内容が、候補者の疑問に具体的に答えている点が共通しています。良い面だけでなく大変な点や慣れるまでの過程も書いていること、現場の社員が登場していること、そして単発で終わらず発信を続けていることも特徴です。派手な企画より、判断材料になる情報を積み上げているかどうかが差になります。

採用広報の施策は、少人数でも始められますか?

始められます。最初は、面接でよく聞かれる質問に答える記事を一本作り、その要点をSNS投稿や求人票の補足に転用するところからで十分です。一度の取材を複数の形式に展開すれば、担当者が少なくても発信の量を確保できます。頻度は無理のない範囲に決め、途切れさせないことを優先してください。